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プロジェクト化し、ガイドラインを定めることでRPAの効果を最大化

左:富士ゼロックス東京株式会社 鷲頭 天胤氏
右:富士ゼロックス東京株式会社 山井 武志氏

RPA導入が決まったら、自動化する業務の選定や可視化の他にも、採用するRPAツールの選択などの様々な業務を行わなければなりません。RPA推進担当者だけでこれらすべての業務を行うと、かなりの時間や労力がかかってしまう場合があります。

前編に引き続きご紹介する富士ゼロックス東京株式会社の事例では、RPA導入をプロジェクト化し、社内統括部門が定めたガイドラインに従ってRPAを推進しています。

プロジェクト化し、ガイドラインに従ってRPA導入を推進するメリットについて、前編同様富士ゼロックス東京株式会社 広域サービスサポート本部 サービス管理部 サービス管理グループの山井武志氏と、同グループの鷲頭天胤氏にお話を伺いました。

>>【参考:前編】業務選定と可視化をスムーズに行うコツとは?

社内統制部門の指示により、プロジェクト化してガイドラインに従って推進する

富士ゼロックス東京株式会社 山井 武志氏

――前回、社内統括部門からのアドバイスでRPA導入をプロジェクトとしてガイドラインに従いながら推進しているというお話を伺いましたが、このことについて詳しく教えていただけますか。

山井氏:社内統括部門から、PoCから導入までを円滑に進めるために、個人の活動ではなくプロジェクト化して行うようにとの通達がありました。そして、定められたガイドラインに沿って導入することを求められました。


ガイドラインではまず、社内統括部門に対してRPA運用に関わる社内ルール等のガイダンスの確認する「RPA概要理解」を実施し、投資対効果に見合うRPAの導入計画を策定する「計画策定」を行います。その後、業務効率化実現のためのロボット設計・開発・テストを行う「開発」、必要に応じてロボットの不具合修正・機能改善・不要ロボットの破棄を行う「運用」、RPAの利用状況を棚卸し、RPA導入の投資対効果を評価する「評価」を続けて行うことになっています。

ガイドラインによりリスクが回避され、モチベーションがアップ

富士ゼロックス東京株式会社 鷲頭 天胤氏

――社内統括部門からガイドラインを示された時、どのように思われましたか。

鷲頭氏:ルールがしっかりと策定されていたので、正直窮屈に感じたこともありましたが、今ではガイドラインがあったおかげで様々なことがスムーズに進んだと思っています。

山井氏:ガイドラインに沿って活動することで、プロセスとルールが順守され、リスクを回避出来ると感じています。プロジェクトとして行っているため、個人が開発を行うことがなく、「野良ロボット」を発生させるリスクがありません。


また、ガイドラインが定められていることでモチベーションを保つことが出来ています。目標値が設定されているために達成しなければならないと思いますし、会社の1業務として認めてもらっているので、きちんと取り組んで結果を出さなければなりません。

また、RPAツールのライセンスは高価なので、自社に適していないものを選んでしまうことは避けなければならないと思っていました。ライセンスを購入する際には、あらかじめ効果予測を算出した上で社内統括部門に提出し、評価してもらった上で購入したので安心でした。

鷲頭氏:個人でロボットを開発して運用すると、担当者が休んでしまった時に動かせなくなってしまいますが、グループ単位で開発することで属人化を防ぐことが出来ます。また、スキルを共有することが出来るので、ノウハウが蓄積されてスキルアップにもつながると思います。

プロジェクトがしっかりしているので、開発を外部に発注することもほとんどありません。外部のサービスでは「パーソルのRPA」の研修を利用したくらいです。今後も定期的なミーティングで利用チームの意見を取り入れながら、開発チームのノウハウを生かして適切なロボット開発に取り組んでいくつもりです。

役割分担により、RPAの効果を最大限に引き出す

左:富士ゼロックス東京株式会社 鷲頭 天胤氏
右:富士ゼロックス東京株式会社 山井 武志氏

――今後の展望について教えてください。

山井氏:富士ゼロックスの販売会社は全国に31社あります。現在そのうちの3社は改善が実施出来ているのですが、まだ生産性改善の余地があるため、西日本や九州などの全国の販売会社とも連携することを目指しています。まずは東京のプロジェクトを成功させ、汎用的な業務を自動化するロボットを渡して使ってもらうなどして横展開出来ればと考えています。成功させるための環境は揃っていると思うので、自動化する業務を見極めて、RPAだけでなくマクロやAI-OCRなどを駆使して効率化のための最適な方法を探っていきたいですね。


鷲頭氏:前回もお伝えしましたが、RPAに置き換えられる業務を自動化することで「省力化」し、創出した時間で売上貢献などの「増力化」を図っていきたいです。どちらか一方に注力するのではなく、両方を推進する方法を考えたいですね。

――これからRPAを導入する企業に向けたアドバイスがあればお願いします。

山井氏:RPAと聞くと導入するためにやらなければならないことが多くある、難しいといったイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし私はもともとExcelのマクロやSQLを使って業務を自動化していたこともあり、RPAによって出来ることが拡がるのではないかという期待感が強かったです。RPA導入をプロジェクト化し、ガイドラインを策定することで、リスクにさらされる可能性を低く出来ると思っています。

鷲頭氏:以前から山井さんとルーチンワークを自動化出来ないだろうかと話していたのですが、本来の業務もあるため手をつけられないでいました。そんな時にRPAを知り、これだと思ったのです。きちんと体制を整えて、それぞれが役割を持って導入を推進すれば、必ず効果を出せるツールだと感じています。

まとめ

RPA導入をプロジェクト化し、ガイドラインを定めて行うことは、セキュリティ上のリスクを防ぐ、モチベーションがアップする、開発が属人化せずにスキルがアップするなどの効果が期待出来ます。

組織力を生かして確実にRPA導入を推進したい場合には、検討する価値があると言えるでしょう。

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