
「キャリア資産実態調査」から見えた可能性
調査データを元に、新たなキャリア支援サービスを提供開始
日本企業の終身雇用制度の崩壊や、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大など、企業を取り巻く環境が変化していくなかで、組織に依存せず、自律的なキャリア形成を社員に求める企業が増えています。ですが、組織に依存しない、自律的なキャリア形成支援とは、どのように進めればいいのでしょうか。
・キャリア自律を促すと社員が退職してしまうのではないか?
・個々人のキャリア形成なのに、組織が支援しないといけないのか?
など、迷いもあるでしょう。ですが、企業にとって人的資本が重要視される時代になり、企業の社員に対するキャリア支援は、大きな変革期を迎えています。この変革期に、新たなキャリア支援の「道しるべ」として「キャリア資産」を定量化することで、企業の新たなキャリア支援を実現するサービスが『プロテアのキャリア・セッション』です。
<『プロテアのキャリア・セッション』詳細はこちらから参照ください>
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■ キャリア資産とは
キャリア資産とは、個々人の知識や能力、社会とのつながりや健康といった「見えない資産」です。
キャリア資産を具体的な項目ごとに分解して可視化することで、
・現状のキャリアのバランス
・今の業務・学習は何に繋がるか
を客観的に、より深く内省することができます。
また、キャリア資産という一貫した指標で継続的に計測することで、持続的にキャリアを考える機会をつくり、主体的な成長活動を促すことにつながります。『プロテア』では、社員の自律的なキャリア形成を図るため、法政大学キャリアデザイン学部教授 田中研之輔氏と共同で、キャリア資産における3つの資産項目を独自に要素分解し、各資産の蓄積状況を可視化できるようにしました。

生産性資産 | テクニカルスキル | 職務を遂行するために欠かせない知識や技術、技術熟練度 |
---|---|---|
ビジネススキル | 組織にとって有益な情報、付加価値のある知識・経験 | |
インサイトスキル | 物事を深く鋭く見抜く力、見通す力、業界や市場を深く理解する、鋭く洞察する能力 | |
コミュニケーションスキル | 他者と十分な意思の疎通を行うための技術 | |
プロジェクトマネジメント | プロジェクトを遂行する際に必要とする計画立案・進歩管理する能力 | |
活力資産 | 精神的健康 | 情緒的に不安がないか、安定的か、心の余裕を保てるように、日ごろからメンテナンスできているか |
身体的健康 | 病気や生活習慣に不安がないか、精力的に活動できるように、日ごろから健康的な生活習慣を過ごせているか | |
自己納得感 | 自身の活動の現在までを振り返り、どの程度自分で決めて取り組んできたか | |
自己選択感 | 自身の今後の活動を考えたときに、やりたいものが明らかで選択できる状態か | |
自己創出感 | 自身の活動にやりがいを感じているか、ポジティブに捉えられているか | |
変身資産 | パーパス | 自身が外部(変化)とつながりをなぜ持つのか、目的を定義できているか |
アイデンティティ | 自身が外部(変化)に対して、どのような役割をもって取り組もうとしているか、認識できているか | |
アダプタビリティ | 自身が外部(変化)と、どのような繋がりを持って取り組もうとしているか、認識できているか | |
ネットワーク | 自身が外部(変化)と、多様なつながりを構築できているか | |
コミュニティ | 自身が外部(変化)に対し、同一の目的を持った仲間と活動ができているか |
■ 全国1,300名のビジネスパーソンを対象に「キャリア資産実態調査」を実施
『プロテア』は、本業および複業等による社員の知識や能力などのキャリア資産をスコア化することで個々人のキャリア課題を可視化、メンタリングや越境体験プログラムなどの機会提供によって、社員の自律的なキャリア形成活動を支援するサービスです。そのための新たな「道しるべ」として「キャリア資産」の可視化に取り組んでいます。その一環で、全国1,300名のビジネスパーソンを対象に「キャリア資産実態調査」を実施しました。本調査では、『プロテア』の機能のひとつである「キャリア資産アセスメント(プロティアン・キャリア診断)」を基に、生産性資産・活力資産・変身資産3つの資産それぞれに対し、企業規模・業種・職種・複業経験の有無によるキャリア資産の傾向を調査しました。
調査結果データとあわせて、法政大学 キャリアデザイン学部教授田中研之輔教授による分析コメントを公開します。
<調査サマリ>
・大企業はキャリア資産が高い傾向に。働き方改革や人材開発などの効果が影響している。
・情報通信業は全てのキャリア資産が高い傾向に、金融業は変身資産が最も高い結果に。
・研究・開発及び営業・販売、経営・役員等 、社外との接点の多い職種はキャリア資産が高い傾向に
・複業実施者は非実施者と比較して、すべてのキャリア資産項目が高い傾向に
<調査概要>
調査期間:2021年3月5日(金)~3月8日(月)
調査方法:インターネット定量調査
調査対象:現在正規雇用で就業している会社員1,300名(男女20~69歳・男女)
※ウエイトバック集計により小数点以下が発生しています。小数点以下の切り上げ、切り下げにより回答人数と各回答数の合計が異なる箇所があります。
※本リリースの調査結果をご利用いただく際は、【パーソルワークスイッチコンサルティング 「プロテア」調べ】とご明記ください。
■ 調査結果および田中研之輔教授分析コメント
① 企業規模別
大企業はキャリア資産が高い傾向に。働き方改革や人材開発などの効果が影響している。
企業規模別の結果をみると、500名以上の企業でキャリア資産が高い傾向にある。また、変身資産を形成する、パーパス(自身が外部とつながりをなぜ持つのか、目的を定義できているか)、アイデンティティ(自身が外部に対して、どのような役割をもって取り組もうとしているか、認識できているか)、アダプタビリティ(自身が外部とどのような繋がりを持って取り組もうとしているか、認識できているか)は、5,000名以上の企業に勤務する社員のキャリア資産が最も高くなっている。大企業で働く社員のキャリアプラトー(*)やモチベーション低下が課題とされている中、アイデンティティやアダプタビリティ項目も高い数値となっている。大企業で取り組んでいる働き方改革の推進や、人材開発からキャリア開発への人事施策の浸透の効果が、キャリア資産の形成を促していることが関連しているのではないかと推察する。なお、500名以下の企業においては、大企業と比較して個々人に合わせたキャリア形成支援の手を打ちやすい側面もある。プロテアを通じて社員個々人のキャリア資産の傾向を把握することで、個人の課題に応じた個別性の高い支援を実行に移すことが有効である。
(*)組織内で昇進・昇格の可能性に行き詰まり、行き詰まったと本人が感じて、モチベーションの低下や能力開発機会の喪失に陥ること

その他:官公庁・団体、趣味・スポーツ用品、化粧品・家庭用など
② 業種別
情報通信業は全てのキャリア資産が高い傾向に、金融業は変身資産が最も高い結果に。
業種別にみると、情報通信業のキャリア資産が高い傾向がある。金融業界の社員は、活力資産<生産性資産<変身資産と変身資産が最も高い結果に。キャリア開発や人材開発の担当者は、社員のキャリア資産を把握した上で、よりカスタマイズしたキャリア形成プログラムの実施が可能になる。例えば、生産性資産が低い傾向がある場合は、テクニカルスキルやビジネスナレッジなどのカテゴリ項目まで傾向を見ることで、キャリア形成に通ずる技能や知識、言語力などの成長を支援するプログラムなどを組み立てることなどが考えられる。活力資産に課題があれば健康に資する活動支援や自己肯定感を支援するプログラム、変身資産に課題があれば社外コミュニティへの参加や複業などの越境経験を支援するプログラムなどが考えられる。プロテアを活用することで、各課題に対する支援プログラムが、どう効果に影響しているかを定点観測することも可能になる。

③ 職種別
研究・開発及び営業・販売、経営・役員等 、社外との接点の多い職種はキャリア資産が高い傾向に。
職種別にみると、研究・開発及び営業・販売、経営・役員等、社外との接点の多い職種においてはキャリア資産が高くなる傾向がある。製造・生産、購買、経理・財務等、社内での業務が多い職種においては、社内業務における専門性が高い一方で、キャリア資産を低く評価していることが分かる。社内に閉じた職種においては、越境して学ぶ機会や複業などで社外と接点を持つ機会をつくるなどの行動変容を促すことで、自らのキャリア資産の再評価につながる可能性がある。習慣や行動変容は一時的な機会提供や支援では実現できないため、プロテアを活用することで、社外メンターによる一歩踏み出すためのサポートや、日々小さな変化に取り組むためのセルフマネジメント支援が有効になる。

④ 複業との関係性(複業実施有無)
複業実施者のキャリア資産が非実施者と比較して、すべてのキャリア資産項目が約1.2倍高い結果に。
ここでは複業の実施有無がキャリア資産形成に及ぼす効果を考察することができる。複業経験が、生産性資産、活力資産、変身資産のそれぞれの資産を増幅させる機会になっていることがわかった。複業はこれまで、一企業に捕らわれず新たなビジネススキルの獲得や、ネットワーク構築の機会として理解されてきたため、活力資産や変身資産の項目増加につながっている。プロテアでは、複業を単なる収入アップの手段ではなく、主体的なキャリア形成のための選択肢となるための複業リテラシーの提供、第3者によるメンタリングも含めたセルフマネジメント支援まで提供している。プロテアを活用することで、主体的なキャリア形成を支援する複業者を適切に増やし、結果的に本業側の企業の人的資本を高めることにもつながることが期待できる。

■ 専門家のコメント
【法政大学教授 一般社団法人 プロティアン・キャリア協会代表理事 田中研之輔氏】
今、企業現場にかかせないのが、DX(=デジタルトランスフォーメーション)とCX(=キャリアトランスフォーメーション)です。最新テクノロジーの導入と浸透によるDXによって、企業は変化の激しい時代の活路を見出すきっかけを手に入れようとしています。もしDXが思うように進展していないのであれば、社員のCXが進んでいないためです。CX推進には、従来型の組織内キャリアから自律型キャリアへのワークシフトが欠かせません。しかし、キャリア開発に携わる人事担当者から聞かれるのは、「実際に、いかなる施策が有効なのか」ということです。今回の調査を通じて、企業規模、業種、職種の比較からも、業界特性や事業特性が、キャリア資産形成に強く反映されていることが明らかになりました。キャリア資産とは、キャリア形成の状態であり、項目別でキャリア資産形成が必要であると認識できれば、具体的な施策に取り組むことができるのです。
特に、興味深いのは、複業経験が与える効果です。1,300名のデータ分析を通じて、複業がキャリア資産を増加させることが明らかになりました。これまで「複業はキャリア形成において良いものだ」と感覚的に捉えられたことが裏付けられたのです。キャリア資産分析をもとに、今後の戦略人事の具体的な取り組みのヒントもみえてきます。それは、キャリア開発をパッケージ化して導入する形式的なプログラムではなく、キャリア資産の形成状態を把握した上で、それぞれの状態にあわせてプログラムカスタマイズした実戦的なキャリア開発に取り組んでいくことが求められているのです。人的資本を最大化させるキャリア開発型の戦略人事の鍵を握るのは、キャリア資産の把握・分析と、キャリア資産を増加させるCX施策なのです。

田中 研之輔氏 プロフィール
法政大学 キャリアデザイン学部 教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会
代表理事/株式会社キャリアナレッジ 代表
一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員。2008年に帰国し、法政大学キャリアデザイン学部教授。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。企業の取締役、社外顧問を23社歴任。著書に「プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術」(日経BP社)、「ビジトレ―ミドルシニアのキャリア開発」(金子書房)など
【パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 『プロテア』サービス責任者 成瀬岳人】
企業のキャリア開発施策は、社員の「自律的なキャリア開発」に移行しつつあります。従来は、階層別キャリア研修などが主流でしたが、今後は社員の自律的かつ戦略的なキャリア開発支援が求められます。また、どのようなキャリア開発支援が、具体的にどのような成長につながっているのか、を把握していく術が必要になります。 社員の人的資本のポテンシャルを客観的に把握し、可視化する『プロテア』は、社員のキャリア資産ごとの課題を客観的に把握することで、取り組むべきキャリア開発支援と、その効果を明らかにします。社員は、企業から提供される支援施策を活用し、自らキャリア開発に取り組んでいくことになります。この企業と個人のキャリア資産を通じた新たな関係性が、結果的にエンゲージメントを高め、組織としての生産性向上や持続的成長につながっていきます。私たちは、『プロテア』を通じて、人的資本を最大化させる企業の取り組みをさらに洞察し、よりキャリア自律した個人が活躍できる社会の実現に貢献して参ります。

成瀬 岳人 プロフィール
業務コンサルタントとして複数プロジェクトに従事した後、ワークスタイル・コンサルティングサービスを立ち上げ、複数社の労働時間改善やテレワーク導入を支援。また、国や自治体のテレワーク普及促進等の公共事業の企画・運営責任を担う。2020年4月より、新規事業開発部門の責任者に着任し、企業向けの複業促進サービス『プロテア』およびデジタル人材育成サービス『Work Switch +Digital』の立ち上げを指揮。複業で総務省より委嘱を受けてテレワークマネージャー、プロティアン・キャリア協会認定ファシリテーターとしても活動開始。著書に『組織力を高める テレワーク時代の新マネジメント』、『成果がぐんぐん上がる 自律的に働くためのリモートコミュニケーション術』(日経BP)
■ 調査結果を元に、新サービスメニューをリリース
キャリア資産は、可視化するだけでは意味はありません。多様性や個別性が増す中、組織の提供する一過性のサーベイではなく、社員ひとりひとりのキャリア資産の可視化から、それぞれが気づきを得て日々の行動を少しずつでも変化させていくことが重要です。組織にできることは、その気づきの機会を提供し、変わることを応援することです。キャリア自律支援サービス『プロテア』では、本調査結果を受けて、この変化の「最初の一歩」を踏み出すための1回2時間の研修「キャリア・セッション」を提供開始します。先ずは、これからの時代のキャリア形成をどのように考えればいいのか、そして受講者ひとりひとりのキャリア資産を可視化することで、気づきを得て、最初の一歩を踏み出すことをサポートします。
ここから、組織と社員個人の新しい関係性づくりをスタートしましょう。
<『プロテアのキャリア・セッション』詳細はこちらから参照ください。>
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